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◆ ◆ ◆ 長い夏(3)◆ ◆ ◆ 2008/08/09 (Sat) 14:30 医療センター3階の救急救命センターのICUは、カーテンを隔てて並ぶベッドの間を慌ただしく動くスタッフの足音や、あちこちで聞こえる血圧計やSPO2の警報音、そして人工呼吸器の音など、想像以上に音の渦巻く空間だった。そしてお袋が寝かされているベッドも決して例外ではなく、そんな音風景の中に人工呼吸器の音を加えていた。 呼吸数は毎分12回に設定(自発呼吸無し)されていて、輸液と昇圧剤(10mg)の投与で血圧は100mmHg前後を保っている。 目立った外傷もむくみもなく、当然肌は温かい。 四万十市から駆け付けてきた姐が、お袋の頬に顔を押し当てながら何度も何度も呼びかける!! 「お母ちゃん起きて…ねえ…お母ちゃん…起きてちや…お願いやけん起きてやお母ちゃん……」 お袋の旨は静かに上下し、表情は穏やかで顔色も良く肌も温かいんだから無理からぬことだ。 それまで張りつめていた僕の気持ちが弾けて、涙が次から次へとあふれてきた。 その後お袋は、家族が少しでも側に居られるようにというセンターの配慮もあって、ICUからHCUに移ったけど、そこも常時付き添えるわけではなく、面会するときはインターホンを押して中からドアを開けてもらい、手洗いをしてから自動ドアを2つ潜って入るという厳重に出入りを管理された場所!! そこで僕達は同じ階にある「家族控え室」に交代で詰めてお袋を見守ることになった。 -- 一言感想(200文字以内) -- |