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◆ ◆ ◆ 道しるべ◆ ◆ ◆ 2012/12/05 (Wed) 9:19 秋は大好きな季節。しかしその秋は、毎年、ものすごい早さで駆け抜けていく。 もちろん、秋になると突然季節がスピードを上げたりするわけもなく、心身共に目まぐるしく動き、なんとなく居場所が定まらず落ち着かない中で、おびただしい数の人と真剣に向き合う日々は、とても充実している反面、自身と深く向き合う余裕もなく、あっという間に通り過ぎていく感じがするのだろう。 08年9月、悪性リンパ腫(ステージ4)との診断を受け、多剤併用療法の副作用と付き合いながら入院闘病した秋は、やたら穏やかで動きのない空気の病室で、ほとんど開かない窓越しに、季節の移ろいを微かに感じながら、自身の心と深く向き合う毎日だった。 死に対する恐怖というよりも、唯々それまでの生い立ちを振り返りながら、沢山の「ごめんなさい」や「ありがとう」が心の奥深い所から次々と沸き上がってきて涙になった。 良きにつけ悪しきにつけ、人間は実感としての「感覚」を忘れてしまうものだけど、あの貴重な情動は絶対忘れてはいけないと思うし、実際今でも実感としてしっかり残っている。 だからこそ、この時期の慌ただしさを、余計印象的に感じるのかもしれない。 そんな中、時間を見つけて出かけるのが、四万十町に在る「元気酵素風呂」。 四万十河畔の自然の中で、米ぬかの発酵熱に身を委ね、愛くるしい2匹の犬と1匹の猫に戯れ、時に女将さん手作りの美味しい料理をいただき、正に身も心も癒される一時。 そしてここに、僕の大切な一つの道しるべが在る。 糠床から出ると、身体に付いた糠を粗方落としてシャワー室へ。 シャワー室には、備え付けのシャンプーとボディーソープが在る。 ところが、両方とも全く同じポンプ式の容器に入っていて、僕には全く見分けが付かない。 そのことを、同じくこの酵素風呂に通っている姉夫婦に話したことさえ忘れていたある日、義兄が言った。 「けい、シャンプーの方だけ、くちばしの部分に輪ゴムを巻き付けてみたけど、あれで解るかどうか今度行った時に触ってみて」。 あれからどれくらい経つだろう。 今でもシャンプーボトルのくちばし部分には、しっかりと強く輪ゴムが巻き付けられていて、髪を洗うのに迷うことなど全くない。 様々な人が代わる代わる訪れ使用する場所に、僕だけのための印が在る。 「お〜い佳…ここぞ〜」。 輪ゴムの印を触る度に、兄の声が聞こえるような気がする。 慌ただしく過ぎる日々の中で、この歳になっても悩み迷うことは茶飯事。 そんな時、「お〜い佳…ここぞ〜」と教えてくれる、兄の小さな道しるべ。 両親亡き今、掛け替えのない親族が常に寄り添ってくれていることを、そっと教えるあの輪ゴムの印は、僕にとって、大げさでなく、人生の大切な道しるべだ。 実際に会ったら照れくさくてとても言えんけど、お兄、ほんまにありがとう。 さて、今日は高知県大豊町でのコンサート。 寒いから日だまりみたいな時間になるようにがんばって来よう。 -- 一言感想(200文字以内) -- 【星の砂】 メリークリスマス☆素敵なお兄様ですね。そして、そっーと応援している人もたくさんいるよ♪いっぱい頑張っている、けいさんに、サンタさんから幸せがたくさんたくさん届きますように♪ 2012/12/25 (Tue) 8:50
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